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和書 467260 (44)



随筆滝沢馬琴 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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完訳 千一夜物語〈10〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 「カマールと達者なハリマの物語」これも複雑重層的(わりと控えめな方だが)な話で、謎が謎を呼ぶような感じである。ただ、この結末は、フェミニストとかからすれば愉快じゃないだろう。102ページの「すべての格に語尾変化することを覚え、受動補語を目的格に置き、直接補語をその能動的役割に据えることを覚えました。」というのは、要するに隠語をあえて書かず、構造だけ示してほのめかしているのだろう。
 「ヌレンナハール姫と美しい魔女の物語」前半の贈り物探しのあたりは、「竹取物語」に少し似ていないでもない。あの「空飛ぶ絨毯」らしきものも現れる。
 「帝王マハムードの二つの世界」憂鬱な帝王が、悪夢(5年間重労働したりする)を見せられて、自分がいかに恵まれているかを自覚するに至るという話。




完訳 千一夜物語〈11〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 この巻もなかなか密度が濃い。
 まず「気の毒な不義の子のこみいった物語」それほど長くはないが、構造は複雑であり、大雑把に言っても「不義の子の話」「若者の猿の話」「三人の狂人の話」の三段構造だ。その複雑さが、充実さを支えている。71ページの羅列・修辞は面白い。「攻撃する独眼流」とか。
 「九十九の晒首の下での問答」問題の問答というのは144ページから展開される。現代の日本人には良く分からないセンスのクイズだ。中には回答できるのもあるが。
 「細君どもの腹黒さ」173ページに、やっぱり羅列・修辞がある。よく思いつけるもんである。
 で、「アリ・ババと四十人の盗賊の物語」マルジャーナというのが烈女で、頼りにはなるが、側にいたら怖いだろう。
 「バグダードの橋上でアル・ラシードの出会った人たち」中の「気前のよい掌の老人の物語」わらしべ長者みたいな感じの話だ。ついでに言うと、ユダヤ人はだいたいの場合良くは書かれていない。
 「スレイカ姫の物語」399ページに、またもや羅列・修辞である。




完訳 千一夜物語〈12〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 「のどかな青春の団欒」中の「解除人」にある離婚条件というのは他にもいっぱい出てきた話だ。当時の人々の大問題だったのだろう。
 クルド人やシリア人についての記述もあり、中東の風土観が垣間見える。
 「不思議な書物の物語」148ページの文は、現代日本ではほとんど見かけないようなセンスの修辞で作られている
 「金剛王子の華麗な物語」これも相当ミステリアスな、謎が謎を呼ぶような話で、気をつけないと当初の目的が何だったのか分からなくなる。意外と100ページにも満たないような話であり、それほどの短さでありながら、読者を惑わしてしまうというところに、作者の力量を感じる。
 「滑稽頓智の達人のさまざまな奇行と戦術」主人公はゴハというかなり変なおじさんだが、そのおかげでティムールを丸め込んだりしているわけだから、人間何が幸いするか分からんもんだ。
 第13巻へ、「バイバルス王と警察隊長たちの物語」が続く。自分の悪事をさらけ出したりして、よく王様から罰せられないもんだと思うが。
 




完訳 千一夜物語〈13〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 最終巻。
 「知識と歴史の天窓」ここではイスラーム以前(無道時代)から歴史を振り返り、預言者ムハンマドも少し現れる。
 「ジャアファルとバルマク家の最期」では、ジャアファルとその一族が教王ハールーン・アル・ラシードに誅殺されたという事件が述べてあるが、なぜそうなったのか、理由はよく分かっていないということになっている。政治というのはいつもそうなのだろう。
 千一夜まで、「ジャスミン王子とアーモンド姫の優しい物語」。題名からも分かるがいかにも可愛らしい話で、こういうのがあるいはトリを務めるにふさわしいのかもしれない。
 大団円で終幕。結婚式の場面で挿入される詩句(432〜435ページ)は、第8巻の「ハサン・アル・バスリの冒険」で述べられたものであり(やや表現のズレがあるが)、一種のフラッシュバック効果を挙げている。先駆的か。




完訳 千一夜物語〈1〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 長いと言っても、ストーリーも文体も相当レベルが高いので、わりとすらすら読めるはずだ。私なんかは暇だったので三ヶ月くらいで読み切れた。中にはオーパーツじゃないかと思えるような凄い表現もあって、大変勉強になる。日本の近代文学よりも、少なくとも娯楽的表現では遥かに勉強になるような気がする。
 これだけ面白い作品なのに、作者の名は誰も分からないらしい。偶像崇拝嫌忌のせいだろうか。
 どれもこれもゴージャスである。酒は飲んでいるし、結構エロい。イスラム教徒の一般的なイメージがものの見事に払拭されるだろう。そういう文化・歴史考証なら、注釈が大量に入っているらしいちくま版を読んでほしい。
 この第一巻の内、特筆すべきは最後にある「大臣ヌーレディンとその兄大臣シャムセディンとハサン・バドレディンの物語」である。全編の内でも最高のもののような気がする。
 ちなみに、豊島与志雄はすぐに死んでしまったので、翻訳の方でがんばっているのは、むしろ無名な岡部さんや佐藤さんだ。この二人の名前が書いてないのは少々おかしいような気もするが。




完訳 千一夜物語〈2〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 大筋で三話収録。最初のは相当複雑な構造で、ともすればわけが分からなくなってしまう。多分それが狙いであり、混乱した読者に最終的解決をぶつけ、それまでの話が上手く収拾されるという効果を狙っているわけである。あとの二話とは大分話の質が違うとは言っても、どれも「ピンチに遭っても最終的にクリア」という面白さという点で共通していて、それは「千一夜」全編を通じてほぼ同じことである。さらにもう一つ付け加えて言うなら、いくつも筋を作ることではじめて得られる構造美というのがある。
 よく練られた構造の中を、数々のピンチに遭いながらもくぐりぬける、そういう感覚。言ってみればハリウッド映画みたいなもので、であるからして、登場人物は小難しいことを考えて悩んだりすべきでない。推理小説とかと同じようなものである。構造美を引き立てるには、余計なものは除去しなければいけない。そうして、結局そういうものが時代を通じて生き残る可能性が高い。それが、この物語を読んでよおく実感されることなのである。




完訳 千一夜物語〈3〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 十字軍遠征等を反映しているようで、当然といえば当然だが、キリスト教徒は概して悪く書かれている。特に「災厄の母」という、物語の中で第一の悪役がそうである。この「千一夜物語」の中でキリスト教徒が好意的に書かれるとしたら、若い女性の場合だ。第9巻に、まさにそれをテーマにした話があるので、読んでみることをお勧めする(なお、改宗も条件だが)。
 長い話だが、戦場描写ばかりでなく、教訓談とかも相当含まれてるので、多少なりともやっかいなところだ。全体の完成度は大して高くない。主人公たちが捕らわれて、逃げることができたのは何故か縛っていた針金が偶然切れたから、という設定とか、妙にいいかげんだし。全体のささくれだった雰囲気にうるおいを与えるためだろう、後半に恋愛物が挿入され、それが第4巻までも続くことになるが、それも4巻に入るまでは、あまり楽観できる性質の話でない。だからうるおいを与えることになっていない、とも思えるので、第3巻はあまり評価できないというわけである。




完訳 千一夜物語〈4〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 第3巻の続きを終わらせて、その後3話収録。この巻はなかなかの充実を見せており、特に最後の話は相当な猥談ではあるが、構成もしっかりしているし、芸術性は高いと思う。その前の悲恋物も同様。枝分かれした筋が、合うべきところできっちり合う。そういうプロットの魅力は、たとえば425ページなのである。気を失うのも無理はない。上手いもんだ。
 カリフのハールーン・アル・ラシード、及びおつきのジャアファル、マスルールは全編通じて本当にしょっちゅう現れる。その頃が黄金時代だったのか。もっとも、称賛しているばっかりでなく、カリフがたちの悪いいたずらすることも書いてあるが。




完訳 千一夜物語〈5〉 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 「ほくろの物語」は、主人公がカリフに気に入られるまでが第一段階、その後陰謀にかけられるが、最終的に無実が証明されるまでで第2段階、という二段構造になっている。まあ基本的にはオーソドックスな話である。
 「博学のタワッドドの物語」これは、王様が「叡智の言葉」を聞きたいというからそうなってしまったのだが、ほぼ全部経典とか学術に関する問答である。物語じゃないと言ってもいいかもしれない。延々そういう問答が続き、終わったときには王様は心穏やかならざる御様子だし、妹は半分眠りかけている。
 後半に、かの有名な「船乗りシンドバードの物語」が所収されている。大体想像がつくだろうが、冒険譚・奇譚であり、得意の猥談はほとんどない。少年漫画みたいなものである。状況描写はさすがに臨場感に溢れている。
 最後の「美しきズームルッドと「栄光」の息子アリシャールとの物語」ある夫婦が生き別れにさせられ、最終的に再会するという、「千一夜」ではよくあるパターンだが、実は女である男装の王というのも、第4巻で使われたパターンではある。


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