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和書 467266 (240)



早春スケッチブック〈下巻〉 (新風舎文庫)
販売元: 新風舎

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山田作品の傑作のひとつに数えられる本作。ドラマは見ていないがシナリオを読んでみた。

和彦の実の父親であり、母親の元恋人である竜彦の出現により、少しずつ変わっていく望月家。竜彦には死期が迫っていた。だが、父・省一は竜彦を拒絶し続ける。竜彦から目が離せないのは当然ながら、省一がどう変化するかも後半の注目点であろう。
当時の言葉をそのまま使えば「小市民」の代表のような省一。勤務先の信金では上司から嫌がらせを受け、取引先におもねり、家では虚勢を張って自分を精一杯大きく見せている。道化のような雰囲気すら漂う。彼はそんな自分に違和感を覚え、思い切った決断をすることになるのだろうか、そのように予想した。
しかし山田脚本は違った。彼の「小市民」的行動が―なんでもない仕事の電話をかけている彼が―最高にかがやき胸を打つ場面を用意するのだ。・・・その場面を読み、ああ、自分は何と軽薄で、安直な展開を期待してしまうのだろう、なんだってむやみに事件やしかけを求めなくてはならないのだろう、と情けなくなった。死に向かう人がいて、絆を脅かされている家族がいて、それだけで十分過ぎるほどの物語なのに・・・

山田氏は、この設定以外には特に大きな事件を起こすでもなく、人間とその心の中のことだけで12話のドラマを書ききった。忘れ難い作品を。このシナリオを読むと、深みを目指すほど、余計な刺激や起伏が不要になるということがよくわかる。しかし誰にでもできることではない。本作が多くのかたの目に触れることを心から願う。DVDもぜひ見てみたい。





電車 (新風舎文庫)
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トトの世界―最後の野生児 (新風舎文庫)
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戯曲 花の首飾り (新風舎文庫)
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僕が彼女に、借金をした理由。〈上巻〉 (新風舎文庫)
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僕が彼女に、借金をした理由。〈下巻〉 (新風舎文庫)
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夢思う人人 第1編・第2編 (新風舎文庫)
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夢千代日記 (新風舎文庫)
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続・夢千代日記 (新風舎文庫)
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ロングバケーション〈上巻〉 (新風舎文庫)
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