和書 492116 (355)
過去と思索〈3〉
販売元： 筑摩書房
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過去と闘う国々―共産主義のトラウマをどう生きるか
販売元： 新曜社
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われわれ、資本主義国家に育った人間にとっては、旧ソビエトの傀儡政権によって東ヨーロッパ、アジアの一部が共産化したと思い込んでいる節があるが、決してそれだけではないようだ。
少なくとも、支配はボードリヤールが言うように、支配したい人間と支配を受け入れる人間があって、初めて支配関係が成立する。この本は、決して支配・被支配の話しではない。共産化するには、国内に強力に共産化を推し進めた自国民がいることが成立要件である。つまり、純粋に共産主義が良いと思い、それに積極的に荷担した人たちがいる。
しかし、この本を読んで面白い点に気がつく。当初、積極的に共産主義化を押し進めてきた人たちは、最初社会から弾き飛ばされてきた人たちが多く、共産主義化した後も反体制をとっている人たちが少なくない点である。当事者視点からすれば、「こんなはずじゃなかった」と言うところであろう。
そして、秘密警察の実態も記述されている。共産主義は間違いを起こさない。何か問題点があるとすれば、反体制派が妨害活動をしているからだ。したがって、その反体制派を探し出して処罰しなければならない。処罰も、国家の資産を無駄遣いさせたのだから、できるだけ重い罪にしなければならない。こう言った思考に入っていったようである。次第にこの思考は、気に入らない奴を陥れるための道具になり、自分のみを守るために先に相手を突き落とすようになる。これは、共産主義国家に限らず、軍事国家、警察国家の慣れの果てはみんなこんなもんであろう。
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過去と未来の間
販売元： みすず書房
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台湾における道教儀礼の研究 (笠間叢書)
販売元： 笠間書院
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火山の探検 (シリーズ・自然にチャレンジ)
販売元： 大月書店
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賢い人 愚かな人―人生を克服する34の智慧
販売元： 大法輪閣
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賢い利己主義のすすめ―ポスト・モラリズム宣言
販売元： 人文書院
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仮象小史―古代からコンピュータ時代まで (叢書・ウニベルシタス)
販売元： 法政大学出版局
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仮象と現実のはざまで―オーストリア哲学小史 (富士思想叢書)
販売元： 富士書店
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仮象の世界―「内なるもの」の現象学序説
販売元： 思索社
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まず心惹かれるのは、その、彫塑のごとく選び抜かれた言葉の、峻厳で古語的美しさに満ちた文体である。霜山氏のこの文を読むこと自体が、自己と対峙し、治癒される過程のようになってしまう。
たとえば、第１章「万華鏡の世界・・まぼろしの巷」にはこんな一節がある。
・・・いつか人間の生涯には、夕づけて夏がかすかになりやみ、寂滅の静かな歌が
聞こえてくるようになる。そして、その苦悩の暗緑色の葉が、あえかにもみじする
のを見て、やがて訪れるはるかな遡風の内にひそむ、低い慟哭を聞くようになる。
また、この章の最後の一節も、この書全体に流れる通奏低音の響きのような部分である。
・・・しかし、私の邂逅した、つずれをまとった影たちの数は実に哀しいほど
多かった。・・・年齢的にも、病苦、死苦を背負った老醜老残の影たちから、
「先生はどうしてあたいをぶたないの、あたいはぶたれて大きくなったのよ」、
「先生、ぼくを１円でいいから買ってくれない」という養護施設にいる幼い
みなし児の影たちまで、また、なによりも、精神病の暗澹とした世界から神経症の
蟻地獄まで、出会った影たちは十分に多かった。・・・この影たちと共生共苦しよ
うという志向をいくらこっちがもっていても、現実には、この影たちの内なる世界に
本当に入っていけたと確信をもったことはほとんどない。・・・我われが他の人を
どこまで理解し得るだろうか、という問いを逆にして、自分が幼い時からかつて
本当に他人に理解されたことがあったろうか、と自問してみるとき、おのずから
明らかになるであろう。
氏は、あとがきでこう記す。
現代の心理学や精神医学があまりに微視的になって、そのために生きた人間自身が
見落とされ、人間でないホムンクルス（小人）の心理学が横行している。・・・
人間の内なるもののつきない豊かさとその翳とをもっと深く直視したい。「なぜなら
ば、内なるものは外にある（ゲーテ）からである。