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和書 492150 (111)



ゾルゲ事件 上申書 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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マルクス主義の謳う「人智が進めば国家的差異が払拭せられて国際社会が成り立つ」とは理論的誤謬であった、と尾崎は言う。ソ連ですら、世界革命の理想をトロツキーとともに足蹴にして「一国社会主義政策」という名の国家主義の方向に走った。

「国家」および「民族」とは人類のある限り「各人の生存の絶対的拠り処として続くべきもの」「あくまでこれを基礎として世界人類の共通的な福祉増進のための国際協調の方途が考えられるべきだけのこと」とは獄中の修行僧然とした生活から洞察を得た尾崎の「純正共産主義」ともいうべきものであった。

上記の如き共産主義理論批判や、日本の庶民が心底天皇を敬愛していたことから革命的スローガンとしての「天皇制打倒」の非合理さ不適当さを判断できるだけの冷静さは、従って尾崎の「共産主義離れ」を意味しない。
尾崎が自らの犯罪を「日本という国家の否定」が先に立つのでなく「共産主義者としての超国家的行動から自然に反国家的行動に出た」のだ、と説明しているように、愛国者として日本の行く末を案じ最善策として共産主義を選び取ることと、敬虔な「純正共産主義」信奉者としてその理論の誤謬を指摘し改善に繋げる事は、尾崎の中で全く同じ原理原則から出で来たったもののようだ。

そうしてみると、これはやはり「転向の書」ではない。尾崎本人が言うように、「転向にあらずして開転=展開=発展」である。「宇内に冠絶する民族国家主義を国是とする日本の占むべき指導的優位」などという国粋主義的修辞に惑わされてはいけない。この期に及んで尚、すぐそこに現実に存在したソ連や中共の脅威を、尾崎は否定している。

尾崎は確実なる死を前に「家」の一員としての自己の来歴と、「万世一系の天皇」を戴く日本の国体との統一を自覚した一人の日本人であったが、同時にいまだ強烈な確信を持った「純正共産主義者」であり、「日本国を裏切る者」であった。




ゾルゲ追跡〈上〉 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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MI5勤務経験のあるディーキン、知日派ストーリィと来ればこれは、もはや最強コンビ。原書はたしか1966年だから40年近く前のものだが、いまもって古びない。緻密なはずのスパイ団だが、上巻には、日本の生活費をうっかり10年前の水準で計算していて、金欠になってしまうなんて、結構笑わせる部分も含む。ところどころ、政治学や近代史の研究者らしい詳しさでゾルゲを世界の中に位置づけるところもいい。英国での組合運動、北欧の共産党の内部の調停と駆けずり回るゾルゲは、今で言えば多国籍企業のビジネスマンである。




ゾルゲ追跡〈下〉 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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日本の軍隊 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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初めて人を殺す―老日本兵の戦争論 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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一つ星のレビューを書いている馬鹿がいるが、買う前に確かめて買えばよい。
非戦を願うでもなく、まるでほろ酔いのような、あるいは霞がかかったような、中国
戦線についての筆者の追憶を述べたものである。ここの表されているのは素朴さだ。
ただ普通の老人の押し付けがましさもない語り、だからこそこの本に読ませられてしまう。
兵士達にはそれぞれに戦前、戦中、そして戦後があった。しかしながら、これはもう
人の資質によると考えるしかないのかもしれないが、忘れられない戦争体験を有しており
、しかも誰にもそれらをいうことなく年を重ねた老兵がいる。
もう亡くなった戦友に心の中で語りかけながら、戦闘行為に限らず中国で出会った出来事
をぽつりぽつりと話し始める。楽しい行為も多くあり、彼はその時代にまさしく生きていた
、青春を送っていたその時代に生きた人間なのだということが、と我々に伝わってくる。
ある忘れられない事項に、ふらふらと語りが焦点してゆく。それが余りに自然なことに
この本の最大限の価値がある。
私は10人以上の友人知人にこの本を薦めたが、ほとんどの人は、考えが変わる衝撃を受けた
、といっている。冒頭で述べた馬鹿は、感受性もないのだろう。こういう本がたくさんある
?では挙げてみろ。答えはこの本以外にない。ろくでもない友人に囲まれているのだろう。
本書は必読だし、戦争で心が壊れて・民主と愛国の2冊と共に、この3年間のベストだ。




反憲法法令集 (岩波現代文庫)
販売元: 岩波書店

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さすが岩波、それだけである。『反憲法法令集』こんな題名の本を恥ずかしげも無く出版できるのは今や岩波書店だけだろう。まともな出版社なら。未だに共産党の影響が相当残っているようだ。今や、参議院四議席の政党なのに。最後まで頑張ってくださいとエールを送らせてもらう。




岩波小辞典 現代の戦争 (Iwanami Lexiques)
販売元: 岩波書店

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中国人民解放軍 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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ルソン戦―死の谷 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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海を渡る自衛隊―PKO立法と政治権力 (岩波新書)
販売元: 岩波書店

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湾岸戦争が終結したのちの91年9月に政府が国会に提出したいわゆる「PKO法案」は、著者によれば、88年12月に成立した「消費税導入法案」といくつかの点で共通しているという。一つは、政権側が度重なる廃案の憂き目を見ながらも、執拗に立法にこだわり続けたこと、もう一つは、これらの法案の必要性の裏には、表向きの理由とは別に政治的な思惑があったと、である。PKO法案の前身であり、90年10月16日に国会に提出されて結局廃案になった「国連平和協力法案」は、前田哲男によれば「ずさんな内容、あいまいな法解釈」に基づいて作成されたものであり、その後装いを新たにして再度提出されたPKO法案も、その否定的な特徴をしっかりと受け継いでいた。本書は、「国際貢献」の美名のもとに、自衛隊の海外派兵という戦後史を画するような政治的大転換の政策決定が、いかにいい加減で場当たり的な法解釈と政治的野心によってなされるに至ったかを詳細に示すルポルタージュの金字塔と言ってよい良書である。本書を読み終えて、「モノやカネだけでは不十分だ。ヒトも出さなくてはならない」というもっともらしい言説がいかに胡散臭いものであるかがわかった。


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