戻る

前ページ   次ページ

和書 499808 (95)



ある通商国家の興亡―カルタゴの遺書 (PHP文庫)
販売元: PHP研究所

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

 発売当時の15年前、単行本で読んだ本を、最近文庫本でもう1度読み直した。
 カルタゴとは、現在の北アフリカにあるチュニジアに存在した、フェニキア人の古代都市国家です。

 カルタゴと聞いて、塩野七生の『ハンニバル戦記 ローマ人の物語』などを思い出す方もおられるでしょう。ハンニバルは、カルタゴとローマが戦ったポエニ戦争の時の、カルタゴの将軍でした。

 「地中海の女王」と呼ばれたカルタゴは、地中海をめぐる貿易競争で、商売のやり手ギリシアを、次いで当時の絶対的な超大国ローマを負かし、地中海貿易を独占して大いに栄えた通商国家だった。

 そのカルタゴは、働くこと以外に何の楽しみも、文化も持たないと、ギリシア、ローマなどの周辺の国から気味悪がられた。

 商売の仕方も、「カルタゴの製品に独創性は見られない。たいていはエジプト、あるいはギリシア製品の模倣にとどまっている。が、彼らの功績は、そうした品々を安く、大量に生産し、広く流通させたことにある。」

 これが昂じて、ついにローマに、「この国は滅ぼさなければならない。」と、決断せしめた。三次にわたるポエニ戦争の末に、紀元前146年に徹底的に滅ぼされるようになってしまった。
 通商で栄えたカルタゴとはどういう国だったのか。それがなぜ滅ぼされたのか、その原因をヨーロッパに飛んで広く取材して追求した物語です。

 著者の森本さんは新聞記者のご出身だけあって、じつに読みやすい文章です。最後の、この地に二度と復活しないようにと、徹底的に塩をまかれる場面には、それほどまでかと、痛々しかった。
 
 日本はカルタゴとは違うんだろうか。工業製品のブランドをのぞくと、身に付ける品物に世界中の人がほしがるブランド品はどれだけあるだろうか。

 初版の発売当時は、日本はバブル景気でものすごく繁栄していた。発売当時から、カルタゴ=日本、ローマ=アメリカ という図式はあった。
 国際貢献。この言葉があったかどうか。この本にもそういう言葉は出てこない。しかし、儲けるだけでなくて、国際貢献の方も大事だよ、といっていた本である。今読み返してみて、著者の指摘の斬新さに感心する。

 本書を再読して、やはりと感じ入ったことは、文化なき国は滅びるということだった。通商国家の日本にはかくべつ教訓的である。時をおいて何度も読み返しのきく本です。




ある通商国家の興亡―カルタゴの遺書
販売元: PHP研究所

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






ある遺書―北摂能勢に残るもうひとつの平家物語
販売元: クレイ

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






ある都市のれきし―横浜・330年 (たくさんのふしぎ傑作集)
販売元: 福音館書店

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






ある零戦パイロットの軌跡
販売元: トランスビュー

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






ある首斬り役人の日記 (白水Uブックス)
販売元: 白水社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)

ドイツ、ニュルンベルクの死刑執行人、フランツ親方の日記です。
死刑を第一部、体罰を第二部として編纂してあります。それぞれ、有識者の解説が付記されています。西洋の歴史の一部を読み解く本として、読んで損は無いと思います。

人間的な感情を極力廃し、冷徹に刑場に引き出された人物の罪状と、下された刑の内容を記した覚書です。フランツ親方の心情が吐露される部分は稀で、そのため処刑人自身や罪人と称された人々の人生に対する読み手の想像力はかきたてられます。グリム兄弟やアルニム、詩人ブレンターノが耽読したという話にもうなずけます。ただ、本当に淡々としているので、何もかも説明してもらうことに慣れた方ですと、処刑の覚書の一つ一つが代わり映えのしないものと写り、退屈に感じるかもしれません。

殺人、強盗、暴行、詐欺、そして姦通や男色など罪の内容は様々ですが、個人的には嬰児殺しが多い点に驚きました。フランツ親方が生きた時代には有効な避妊法が無く、あったとしても宗教上の理由から使用を許されなかったことでしょう。当時と現代の嬰児殺しでは動機という点で大きな相違があるかもしれませんが、古くからある深刻な犯罪ついて改めて考える機会になりました。




ある首斬り役人の日記
販売元: 白水社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






あれ地を田畑に! 東日本編 (きょう土につくした人びと ふるさと歴史新聞)
販売元: ポプラ社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






あれ地を田畑に! 西日本編 (きょう土につくした人びと ふるさと歴史新聞)
販売元: ポプラ社

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)






あゝ、我が戦友(とも)よ―遙かなる追憶
販売元: ふこく出版

Amazonのカスタマーレビュー(口コミ)




前ページ   次ページ

戻る

仮想世界 - シューティング/レース/電車ゲーム フライトシミュレータ