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和書 508066 (142)



オリエンタリズム〈下〉 (平凡社ライブラリー)
販売元: 平凡社

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 下巻は、上巻でオリエンタリズムの問題領域の提示、19世紀にオリエンタリズムが制度化されていく様子が第一章・第二章として記述されたのをうけ、19世紀末から第一次世界大戦までの間に、オリエンタリズムにイギリス的・フランス的という違いが大きく現れたこと、第一次世界大戦後から第二次世界大戦までの間にオリエンタリズムの担い手がアメリカに移ったこととオリエンタリズム自体の変質を扱った第三章、本編発表の7年後に発表されたオリエンタリズムに関する再説、日本人研究者の杉田英明氏の解説、訳者解説と上下巻共通の原注・索引が収録されている。
 オリエント、特に本書で論じられている西アジア・エジプト・インドで実際に植民地を統治していたイギリスでは、オリエントに対する認識が行政的・経済的・軍事的な操作手法へと変わり、その変化に応じてオリエンタリズムもより現実的になった。頻繁に用いられたのは「我々と彼ら」という区別=差別の図式と骨相学・人類学による人種類型を政治・文化の領域に拡大して適用する手口など、そんな手法でブリティッシュ・オリエンタリズムは植民地支配を正当化するどころかオリエントへの恩恵とさえ表象した。対してフランスでは当該地域にもはや植民地をほとんど持てなかったのでオリエントを自分たちの幻想・異国への象徴として観念し、オリエンタリズムもそれに応じて混乱と暴力と性的奔放さ、というイメージを流通させた。もちろんどちらのオリエンタリズムも実際のオリエントの存在を無視していたことに変わりがない。
 そんななか第一次世界大戦後に国際政治のヘゲモニーを確立したアメリカは、それまでの覇権国家だったイギリス・フランスからオリエンタリズムの使用権を継承することになった。この事実だけでもオリエンタリズムという学問分野が科学というより政治技術であることが示されているが、以下、著者はアメリカでのオリエンタリズムの特質を指摘する。それは、アメリカニズムをプロパガンダする前提としてオリエンタリズムの学習制度を作り上げたことと、アメリカン・オリエンタリズムが強く性行為を含意するようになったこと(男としてのアメリカがか弱い乙女としてのオリエントを組み伏せる)の二つだ。より消費イデオロギーを広げていくアメリカニズムが同時にオリエンタリズムも使いこなすことへの強い疑義と共に、全三章の論述は幕を閉じる。
 1985年に書かれた再説は、本編発表後に起こった著者本人の認識の深まりと、周辺で巻き起こった論争、彼の問題意識を受けた数多くの研究の紹介がされている。

 この著作が発表されたことで、明らかになったことは数多いようだ。そんな意味でこの本は世界を変えた一冊だと思う。内容に賛成するにしても反対するにしても、この著作自体にオリエンタリズムを働かせない限り、この1冊の業績は失われないだろう。




オリエント・エクスプレス物語―大陸横断寝台列車 (中公文庫)
販売元: 中央公論社

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 題材そのものも極めて興味深いものであるが、(デビュー作の後に発表されたとは言え)
現代最高の文明評論家がいかにして自分の「スタイル」を完成させたかを知る上でも重要である。
通常翻訳の文章というのはその翻訳者オリジナルの文章とは多少の違いがあるものであるが
(丸谷才一や村上春樹の翻訳作品と彼らのオリジナル作品を比較すれば一目瞭然である)
本書は翻訳ではなくあたかも玉村本人が書いたかのような自由闊達な、それでいてどれだけ
ふざけちらかしても格調の高さを全く失わっていない文章であり、玉村がジャン・デ・カールの文章の
呼吸をどれだけ自分のものにしているか、また同時に、東大仏文卒でパリ留学体験もある玉村が
どれほど高いフランス語力の持ち主であるかを改めて想像させてくれるだろう。




驚異の世界史 オリエントの幻―物語はバベルの塔から始まった (文春文庫―ビジュアル版)
販売元: 文藝春秋

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少し邪道な紹介ですが。。。
古代バビロン・エジプト・ヒッタイトについて、豊富な写真付きでわかりやすく解説されています。細川千栄子先生の大河マンガ「王家の紋章」を読む時にこの本の写真を参考にすると、とてもイメージが明確になると思います。




折りたく柴の記 (中公クラシックス)
販売元: 中央公論新社

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 新井白石の著作は代表作である本書の「折りたく柴の記」や「読史余論」「西洋紀聞」など、歴史の授業で名前を暗記しても、実際中身にふれる機会など少ない方が多いのではないだろうか。私もその一人です。

 しかしながら本書は、現代語訳に翻訳してあり、まったく苦もなく読み進めることができます。

 家系の歴史や直参に取り立てられまでの本人の略歴や、自らが起草した政策の解説、当時を騒がせた事件の顛末などが書かれていて、当時を知る上での一級の資料とも言えるし、当時の武家社会の様子なども垣間見ることが出来る。

 当時の幕府で何が重要な問題とされ討議されたか?

 領地の争いや、血族間の殺人など、こんな問題が中央政府で真剣に討議されたのかと思うようなこともあり、当時がいかに平和な社会であったのかも連想させる。

 側近政治についても、柳沢吉保、荻原重秀らを批判しながらも、老中や大老、若年寄がいわゆる世襲の大名二世三世でその能力が低いことが原因とし、今の国会議員と官僚の関係のようがきがしてならない。

 当時の幕府の中枢の様子をしる、読みやすい本です。お薦めします。




オレとボク―戦地にて (中公文庫)
販売元: 中央公論社

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昭和17年2月1日、著者25歳の春に近衛輜重兵連隊に入営する。その後中国大陸に移動、幹部候補生採用試験を受けさせられ、なんにも試験用紙には書かなかったのに及第し、甲種幹部候補生になって士官学校に入校を命じられる。1年後の18年8月に卒業、原隊に復帰し見習士官となる。翌19年4月に南方への転進命令が下り、輸送船で南に向かう。マニラ出港後セレベス海の真っ只中で潜水艦による魚雷攻撃を受けて船が沈没、やっとの思いで救助された。その後、セレベスとニューギニアの中間に位置する赤道直下ハルマヘラ島に配属され、腹をへらしながら終戦を迎えた。

著者は飄々と軍隊の非人間性を描き、戦争のばかばかしさを教えてくれる。圧巻は乗っていた輸送船が魚雷攻撃を受け、30度も傾いている中を部下と共に退船、海に浮かぶこと数時間、やっと駆逐艦に助けられるまでの出来事だろう。「鎌倉の海岸にどんなきれいな娘さんがいても、どんなに家庭的であっても、どんなに、エロティックな誘惑があっても『海水浴へご一緒に』と言われたら、絶対に断ろうと、心にきめた」と。ユーモラスに書かれてあるが、大変な経験だった。




女重宝記・男重宝記―元禄若者心得集 (現代教養文庫)
販売元: 社会思想社

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鳶魚江戸ばなし〈3〉女の世の中 (河出文庫)
販売元: 河出書房新社

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女はなぜ男に負けたのか―女帝待望論
販売元: 世界書院

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女たちの大英帝国 (講談社現代新書)
販売元: 講談社

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19世紀後半イギリス。世界のほぼ四分の一を支配していたこの時代において、男性の場として語られがちな植民地の中での女性の姿を救い上げた書。ヴィクトリア朝の女性への束縛にとらわれず「未知の」アフリカ奥地を旅した女性、植民地の人々の立場にたって物事を考え、被支配民族を理解しようと努めた女性宣教師の話など、興味深く読めました。




女たちの幕末京都 (中公新書)
販売元: 中央公論新社

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幕末を生きた女性たちにスポットを当て、歴史の隠れた側面を掘り起こそう…というそもそもの意図はわかる。だが、延々と続く微に入り細にわたる叙述については、「それがどういう意図をもってなされているか」という点をどこまで読み進めても示してもらえないため、読んでいて非常に辛い。著者が「あとがき」で述べている「まさに綴っただけで、まとまった結論の出ない文章になってしまった」とは、残念ながら正鵠を射てしまっている。

研究対象にハマって頭に血が上ってしまった大学院生の論文草稿のようでもあり、叙述における全体的・論理的な見取り図の重要性を改めて感じた。自戒を込めつつ。


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