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和書 529056 (139)



真の独立への道―ヒンド・スワラージ (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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「インド独立の父」ガンディーが1910年に著した著作。編集者(ガンディー)と読者(急進派の若者)との対話という形式で西欧文明を批判すると同時に、インドの真の独立の在り方について議論する。

ガンディーの批判は、西欧の近代文明に囚われ、その価値観、言説体系を自ら内面化してしまっているインド人自身に向けられる。そのような状態を克服するにはインドは魂の力(サチャーグラハ)に目覚めることが肝要であるという。ガンディーに言わせれば、オーストリアからの独立を勝ち取ったイタリアや、西欧型近代国家建設に成功し国威を発揚させつつあった日本は模範にはなりえない。西欧文明に適応する形で主権国家としての体裁を整えようとしていたイタリア・日本方式ではなく、真の文明であるインドの自覚による自治と、西欧近代からの脱却こそが真の独立への道であるというのである。1910年の時点でここまで西欧近代を相対化、批判した上で、植民地主義の根幹が被支配者による、支配者文明の内面化にある点を看破しているところは驚嘆という他ない。このような知性を輩出しえたところにインド文明の懐の深さがあるのかもしれない。福沢諭吉の『文明論の概略』とセットでその文明観、西欧観を比較してみたいところ。





仁学―清末の社会変革論 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 若くして処刑された革命家である譚嗣同の主著。内容は、伝統的な儒学に西洋の民主主義理論を接続した不思議な本である。儒学の中でも陽明学、特に左派の李卓吾などはそれだけでも単独で革命理論として使用できるが、かれが民主主義の中で取り出したのはロックの人権思想のように思われる。幕末の明治維新を生み出した思想的背景は山崎闇斎にはじまる崎門の学から水戸学に受け継がれた流れだと言われているが、それらと比べて読むと面白いのであろう。




祖国を顧みて―西欧紀行 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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大正2年(1913)、34歳、官費留学生として河上はヨーロッパに留学する。経済学者、宗教者、ジャーナリスト、大学教授、社会主義者、共産主義者と、左右上下に彼の意見は変わっていったが、彼の生き方自体はいつも変わってはない。それは一つは「誠実」という事であり、一つは鋭い「批評精神」があるということであり、一つは溢れるような「詩人」であるという事である。今回の旅も、祖国へ送るレポートは「愛国主義」にまみれているように思えるが、(その後の昭和の軍国主義を知っている私たちには危なかしくて仕方ないのだが)一方では優れて「文化人類学的」なレポートとなっている。

「西洋文明の特色は分析的で、単位と単位との分界が極めて明確な点にある」とレンガ石で出来た都市を説明する。一方「日本文明の特色は非分析的で、全て物を一まとめとする点にある。」と、日本の建築物を説明し、「この組織では大建築は出来難い。家族主義国家になって、世界主義にならぬ所以である」と主張する。確かにすこし画一的な説明ではある。河上に現代日本を見せたらなんというのだろうか。しかし、多くの部分では当たっているところもある。例えば、日本の食器はすべて誰々のものか、何々のためか属性が与えられているのに対し、西洋の食器はたとえ犬が食べた食器でも洗って清潔であれば晩餐でも使うといった合理主義があるという指摘は今でも通用するだろう。

河上のジャーナリスト精神、あるいは詩人としての文章力が健著に現れたのは、「伯林脱走記」である。かれはたまたま第一次大戦勃発時、ドイツ伯林(ベルリン)にいた。ドイツの開戦からイギリス参戦にいたる経過をベルリンに居て見事にレポートしている。いよいよベルリンを夜逃げするときの描写はなかなかの名文であった。




太陽の都 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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代議制統治論 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 近代の文明国では代議制統治が最良であり、その実現条件や運営法を述べた本(1861年著)。その根拠の説明もさることながら、少数意見の尊重等民主主義政治が機能する条件が述べられている箇所が勉強になった。特に統治原理は人の資質に依拠し、その統治が良いかどうかは人の資質が育つか否かで評価される、という著者の考察は本質的な内容として印象に残った。
 植民地に対する望ましい政治形態を述べた箇所や東洋の統治形態に対する解析は当時の歴史的状況を示す例として興味深い。




帝国主義 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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暗誦を誘うほどの美文と、透徹した論理によって、これほど読書中にエクスタシーを感じさせられる書籍はそうそうないと思います。彼の愛国心、軍国主義、そして帝国主義に対する考察はいづれも興味深いものでしたが、彼の提起した問題の中で、最も興味深く、そして身近な問題として感じられたのは、愛国心の問題です。

例えば秋水の挙げた例を自分に当てはまると、僕は大学生で現在東京に住んでおりますが、地元のことを愛おしく感じるときは、同時に東京に対して何らかの反感を持ったときや、自分のここでの生活が上手くいってないときが多いのです。つまり、地元への愛郷心は東京への敵愾心の裏返しとも言えます。これは国家の問題にも当てはまります。国家への愛国心が高まる時には、必ずと言っていいほど、他国への敵愾心も増していることは歴史を見れば明らかです。

こうした相対的な愛国心ではなく、他者の否定の裏返しとならない絶対的な愛国心は存在するのでしょうか??本書で得た知識を糧に、これからもその答えを模索していきたいと思います☆




東京に暮す―1928~1936 (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 戦前の日本の様子を、生活者の視点で知ることができる良書である。
 外国人の視点から書かれているという点が面白く、その距離感が現代の日本人と当時の日本人とのそれに通じるところがあるのか、とても読みやすい。
 当時の日本人の車の運転に関する記述などでは、その荒さに現在の新興国に見られるような一面が感じられるが、一方で、日本が古来から持っているものに対しては、今でも日本人の身体に染みついていると信じたい奥ゆかしさや丁寧さが、ひとつひとつの行動ににじみ出ている様子がうかがえる。
 読んでいて、時におかしく、全体としてはとても心地よくなる一冊である。




特命全権大使米欧回覧実記 (1) (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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明治維新に際して、不平等条約改正を目的に
まず外国に行って見てみよう。となった時の記録です。

本来の目的は達成されませんでした。
ただ、結果として、西洋の見学とでも言えばよいでしょうか。
さまざまなものを見聞きして帰ってくることができました。

その間留守を任されていた西郷という点も見逃してはならないと思います。

読みやすさという点では私はあまりです。古語なので。

ただ、非常に重要な書物です。
口語訳も出ているらしいです。




特命全権大使米欧回覧実記 (2) (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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とりわけ目立つことは、工業視察の記録が詳細にわたること。アメリカ編でも観察結果をよくぞここまで詳しくリアルに書き残したことよ、と驚かされたが、イギリス編では産業革命の成果でもある製鉄所、汽車関連工場、紡績工場、ビール工場、ドック等々、工業に関する視察結果が、記載の長さにおいても詳しさにおいても際だっている。これは、記録係の久米邦武というよりも使節を派遣した明治政府の意図を反映しているのであろう。また、それら記述には、阿片窟や煤煙のすごさなど負の諸側面や特徴ある山野の風景もちらほら顔を出している。

 読者、それも現代の若者にとっては、旧字が目立つ文語文と相まって読みにくいと思えるかもしれない。しかし、このレビューを読もうとしていただいた方には、その動機故に、それを乗り越えて、あるいは、詳細すぎると思われる観察部分は流し読みしてでもイギリスでの4ヶ月分を通読していただきたい。さすれば、少なくとも、明治維新という時代にあってあくまでも未来に向け心を駆り立てていた先達の熱き想いをうかがい知ることができるから。




特命全権大使米欧回覧実記 (3) (岩波文庫)
販売元: 岩波書店

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 この巻では、訪れた国の特徴をつかむ眼力のするどさと比較文化論とが目を引きます。イギリスを発ってドーバー海峡を渡るところから、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツの回覧結果を報告しています。各国の総説を冒頭に置くのは各巻共通ですが、それ以降の章でも、まずは特徴を明確にします。例えば、フランスの文化とパリコンミューンへの見解など政治思想、ベルギー、オランダの小国ながらの特徴を生かした国造り、ドイツの森林と農業、ビスマルク、モルトケの人物像や急激な発展の足どりなど。その上で、米英を含め各国の比較を時に応じて展開して見せてくれます。その一端のみを紹介すれば、ロンドンの煤煙のひどさに比べパリの空気の清透さ、米英独の政治のありように及ぼす各国歴史の違いの影響等々。具体的には、久米邦武の筆にあたってその優れた眼力を見ていただきたいと思います。それらは、久米の透徹した眼力であると同時に、文明開化・富国強兵を背景にした強い問題意識を準備して回覧に乗り出した明治日本とそのエリート達の眼力でもあったと思われます。

本書は、米欧回覧の国民向けの報告という性格をもちますが、それ故に、たとえば、本使節団の目的のひとつ、条約改定に向けての予備会談などはほとんど表に出ません。しかし、そのあたりは巻末の校注で他の文献などを引用して解説されます。それらを会わせ読むと、使節団の全体像に一層近づくことも出来ます。


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