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和書 554120 (254)



世界という背理―小林秀雄と吉本隆明 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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 小林秀雄と吉本隆明という日本の近代を代表する批評家の知のあり方を分析することで、世界像の根幹に迫る。竹田によれば、この二人の知の内実は亜流ポストモダンの評論家のそれに劣らないどころか、思想としての徹底度において勝っているのである。

 竹田は「世界という背理」「思想の背理」「言葉の背理」について鋭い指摘を行っている。たとえば「言葉の背理」とは自己の超越として出立した言語が他者との了解可能性なしには成立しないという事態を指す。わかりやすくいえば、たとえば自分の純粋な哀しみを言い表した詩の言葉も、他人にわかってもらえる意味を持たなければ、そもそも言葉として成り立たないということである。

 ただ、この本の中の竹田の小林観には納得できないところもある。小林が説く生の知恵が現代人の心を動かさないと断言しているところなどがそうだ。そうは言っても、他の人たちの小林秀雄論よりも広い視点で小林を扱っていて、その点は高く評価できる。




占領史録〈1〉降伏文書調印経緯 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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占領史録〈2〉停戦と外交権停止 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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チベットのモーツァルト (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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大学2年の時にこの本を一通り眺めて、なんだか最先端の思想に触れている気になっていい気持ちになって、でも心のどこかでちゃんと理解できてないんじゃないかというルサンチマンがくすぶっていて、20年の時を経て吉本隆明と糸井重里の対談の「悪人正機」で吉本隆明がこの本を再評価しているのを見て、「もう一度取り組んでみよう」と思い、「アースダイバー」と同時に発注したが、「アースダイバー」は読めてもこちらの本は構えてしまってきょうまでかかってしまった。

今回読んでみて、20年前よりも理解できたように思った。無論、本の内容を自分の言葉で説明しろ、と言われたら多分5分の1ほどしか説明できないだろう。あとの5分の4は解った気にはなったが、結局はさらさらと指の間から砂がこぼれ落ちるように僕をすり抜けてしまった。

吉本隆明はこの本を再読して「精神(心)の考古学」だと評した。ヘーゲル的な西洋中心的社会進化論的文明・文化観の底の浅さを突き抜けて、もっと大きな括りでの太古を探る知的営みなのだ。「はじめに言葉(ロゴス)ありき」のその前の、言葉が生成されて精神も時間も空間も分節される前の、いわば夜明け前の曙光の予感を感じる「時」を心で体感して生まれたのがこの本だろう。だから、この本で使われる言葉はイメージ喚起的な言葉ばかりなのだ。元々言葉では表現しようのないこと、それこそ太古の人間の精神をそのまま継承しているかもしれないチベットの行者に弟子入りして体感しなければ理解できないことを言葉で表現しようというのだから、並の言葉使いではダメだ。

その面で中沢新一の言葉使いはすごい。なんとなく理解できる気がする。言葉を通じて体感できる気がする。





哲学以前 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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解説によれば、本書は戦前の旧制高校の学生によく読まれた本だという。60歳ぐらいの人が読めば本書が説いていることに共感できることが多いかもしれない。20歳前後の大学生で本書を一読してすぐ納得できるひとはそう多くないに違いない。かといって難解な用語を使っているのではなく、身近な題材から、わかりやすい言葉で説明しているが、内容が深い。多少哲学の知識があるひとは、形而上学的な考え方を解説しているとピンと来るだろう。「哲学以前」とは、哲学の目的は難解な思想を理解することだけではなく、人間が切り取った思考より前に存在する、「根源的な、存在そのもの」に目を向けなさい、といいたかったのだと思う。あまり哲学づいて観念的に凝り固まってしまうのもよくないが、社会に出て実務に接する前に、ものごとを深く考える思考の訓練をする期間は、やはり必要なのではないだろうか。マイナス1点は「真理思慕」は著者の思い入れが感じられるが、読まされるほうはすこし気恥ずかしく感じるので減点した。




哲学の課題―樫山欽四郎哲学論集 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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序 哲学に課せられた一つの問題
1 ヘーゲルと現代
2 キルケゴール
3 宗教との対決
4 実存と道徳
5 倫理
6 ヘーゲルの道徳論
7 歴史
8 自然について
9 哲学の課題
10 否定の論理
以上目次。

死後編纂された論文集。それぞれ興味つきない論点が示される。





哲学の教科書 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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哲学は何であって何でないのか。哲学者とはいかなる人種なのか。哲学は何の役に立つのか。こうした、知っているようで意外と分からない哲学のすがたを丁寧に説いた教科書です。デカルトやカントなどの有名な哲学者の名前も出てきますが、それらはあくまで著者の主張の例示としてであって、いわゆる哲学史や「哲学者」学の教科書とは一線を画しています。新聞のコラムなどで見かける著者のエッセイはひねくれたものが多いですが、この本ではそうした毒は抑えられ、とても誠実な語り口が貫かれています。

哲学的な問いの何たるかと、それに絡めとられることの恐ろしさが、著者自身の体験と実感に基づいた記述から生々しくつづられていますが、私も含めて、通俗的な日常を送っている多くの読者にとってそれは、理解はできても十分には共感できない代物でしょう。しかしながら、私たちの認識や日常は、自明のようでいて実は全く自明ではない無数の前提の上に成り立っていることと、そうした問題に対して無意識ながらも思考停止することで私たちは日常を送ることができるという事実は、頭の片隅で常に意識しておいて損はないはずです。(こと、死に関しては。)

哲学とは、そうした日常のあらゆる前提を徹底的に疑うことであり、それに対する普遍的な答えなり理論なりを精確に論証して、相手の実感に響く言葉で納得させることを試みる営みだそうです。こうした方法論そのものは、学問を志す者はもとより、常に現状を改革すべき実務家にも求められるものです。もちろん、哲学者でなければ、何から何まで疑う必要はありません。疑うべきものを疑うべきときに適切に疑えれば十分でしょう。




東西思想の根底にあるもの (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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内省と遡行 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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ポストモダンというのは、ある意味「閉塞」の時代です。

何も出来ない、何もない、どこにも行けない、良いも悪いも分からない。そういったないないづくしの状況の中で、生きる希望を失わないための思想がポストモダニズムだといえるでしょう。

この本は、まさにそのような希望のための試みでした。

本書が志向しているのは外部、つまり「ここではないどこか」です。閉塞状況を打ち破ってくれるような、「どこか」を目指した思考の軌跡が本書です。

それも安易に「これが外部だ!」と語るのではなく、徹底的に内部を語ることで。内部が自ら音を立てて崩れるまで、内部を突き進んだのがこの『内省と遡行』でした。

それは希望であると同時に、絶望でもあります。何故なら本書が問題としたのは、「ここが外部だ!と言った瞬間、そこはたちどころ内部になってしまう」という、まさにそのことだったからです。本書で幾度となく登場する「自己言及性」のパラドックスというのがこれです。

だからこそ、本書は内部にこだわるのです。「ここ」が「ここ」でなくなるまで、徹底して「ここ」について語る。

それは敗北することを運命づけられた試みです。そしてそうであるが故に、この本は読まれ、讃えられるべきだと思います。

『構造の力』と並んで、二十世紀後半の日本における思想的達成といえる書物でしょう。










年表で読む二十世紀思想史 (講談社学術文庫)
販売元: 講談社

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