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和書 882814 (62)



代官の日常生活―江戸の中間管理職 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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 代官といえば悪代官。イメージは悪い。それを払拭する本だ。
 歴史学者の本にありがちの、文献の引用のオンパレードといった「悪癖」はほとんどなく、すっきりとして読みやすい。しかし、記述の裏にはしっかりとした学問的裏づけがある。啓蒙書としての役割を十分に果たしている本なのだ。
 江戸幕府の統治機構のかなりの部分を、代官機構は担っている。どんな統治形態でも徴税機能は不可欠。その意味で徴税の最前線にある代官に焦点をあてることの意味は大きい。腐敗してるのはむしろ代官の部下とか、公務をつつがなく遂行するには自腹を切る必要があるとか、百姓と代官の虚虚実実の関係とか、目から鱗の記述に読者は魅了されるだろう。現代の官僚機構との比較、「官官接待」のありようなどには、「昔とあまり変わってねーな」と苦笑することしきり、である。
 歴史書の醍醐味はリーダビリティと目から鱗の意外性にあると私は思うのだが、本書はその見事な見本といえる。労作。




大日本帝国の生存戦略 同盟外交の欲望と打算 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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 陸自幹部出身で防衛研究所にも奉職された軍事外交史家・黒野耐氏による戦前日本の同盟政策に関する概説書です。明治初期の国益定義状況や無同盟下の三国干渉あたりから筆を起こし、日英同盟締結の背景、日露戦争における功績、その後の空洞化傾向への日本側の対応、同盟の解消などを概観した上、ワシントン条約体制の崩壊と三国同盟の締結頃までを対象としています。
 利害の共通、特に脅威認識の共有が喪われた際など、国際政治の力学によって同盟の求心力が低下していく際のマネジメントのあり方について、特段の問題意識を置いているように見受けられます。我が国の置かれた今日的状況に鑑みれば、とても大切な問題なのではないでしょうか。
 氏が投げかける主張的な部分の当否については読者によって様々な受け止め方があることでしょうが、本書に示されている日英同盟消長の跡は、全体として掬すべき示唆を投げかけているように思いました。




大仏再建―中世民衆の熱狂 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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大名庭園―江戸の饗宴 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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 庭園の歴史や、そこで行われていた大名たちの社交のありさまなどを丁寧に解説している。京都の寺社などの庭園と、東京の庭園はずいぶん雰囲気が違うな?などという素朴な疑問に答えてくれる、門外漢にも優しい一冊。

 しかしこの本の魅力は、そういった歴史背景の説明だけにとどまらない。六義園などの名園をいくつかとりあげた上で、「回遊式」庭園の本質にそってそれを楽しむための視線の広げ方・足の運び方もレクチャーしてくれるのだが、これが単なるガイド以上に面白い。読了後、大名庭園に足を運びたくなるはず。実際、この本を読んだ後に浜離宮に行ったら、以前よりも楽しめたりして。

 ところで、この著者はなんだか文章が味わい深い。庭園史の譬えに音楽を持ち出し、その音楽の譬えに今度は体操を持ち出すといった具合で、いまいち文の方向性がつかみづらかったのだが、中盤からはそのテンポがなんとなくツボにきてしまった。




地上の夢キリスト教帝国―カール大帝のヨーロッパ (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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 カール大帝とかシャルルマーニュ大帝という名前、我が国でも歴史ファンの間では相当にメジャーです。高校の世界史の教科書にも出てくるくらいです。しかしながら、彼が何をしたかと問われれば、「中世ヨーロッパの有名な王さま」というくらいしか答えようがない向きが多いのではないでしょうか。
 本書は、そんなカール大帝の治績を一般向けに分かり易く説明するとともに、彼が生涯をかけて達成した西欧の統合とカソリシズムの普遍主義的理念との関係を解き明かそうとするものです。
 すなわち、著者はカールの師であり側近であった聖職者アルクインの思想に着目し、当時のフランク宮廷が目指したものは、正統信仰の擁護、民衆教化、そして異教徒の改宗であり、この三本柱こそがシャルルマーニュ帝国を支える理念でもありイデオロギーでもあったと論じています。
 カールが宗教的な情熱に駆られて西欧統一を成し遂げたとするかの如き著者の認識は、些かナイーブに感じられてしまいますが、当時の思想的・宗教的雰囲気の中でキリスト教理念が発揮し得た政治的な力に着目する視点には感心させられます。
 当時の経済的・社会的状況や帝国の権力構造、そして地方や基層における支配の仕組みなど、もう少し教えて欲しいと思う点が少なからずありますが、本書は、当時のフランク王国とローマ教会の状況を一般向けに分かり易く解説してくれる、日本では珍しい本です。歴史ファンであれば、読んでおいて損はないかもしれません。




地図の想像力 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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 社会学者による「地図論」である本書は、しかし門外漢の「余技」などでは決してなく、単なる「地図論」を越えて、イメージ論であり、国民国家論であり、権力分析であり、表象の政治学でもある。つまり、タイトルにあやかっていうなら、本書は地図を主題とした議論を通じて、読者の「想像力」を心地よいまでに刺激する、良書である。

 若林がその出発点に置いてていねいに説明するのは、「地図」に関するわれわれのいくつかの思い込みである。つまり、「地図」が客観的・科学的なニュートラルな表象だという考え方が相対化され、分析対象としての「地図」を鮮やかに取り出されてくるのだ。例えば筆者は、「地図」を次のように定義してみせる。

地図は世界そのもののあり方を現前presentするのではなく、それを記号によって「表現=再現re-present」し、人間の世界了解の次元に像としての全域的空間を代補supplementするのである。(P.47)

 このように(別のところでは「テクスト」だとも述べる)とらえられた「地図」において始めて、われわれは「地図」の成立に関わったさまざまな不可視の力学を垣間見ることができるし、逆に「地図」から、単純なビジュアル・イメージ以外のものを読みとることが可能になる。だから、1つの「地図」=「テクスト」には、作り手にとっても読み手にとっても、さまざまな線分の交錯する表象であり、そこには抜きがたい歴史性が刻印されることになる。その時、われわれは、「想像力」(これもまた「地図」に関しては、「地図」自体によって教育されもするのだが)によって、見えない世界を可視化し、地図表象においてもなお見えていない領域の諸問題を可視化することができるのだ。

 本書は、われわれにこうした批判的読解力を喚起し、挑発する書物なのだ。




中高年健康常識を疑う (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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中国人民解放軍 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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厳戒態勢のなかで開催された北京オリンピック。警戒にあたっているのは武装警察と軍です。毎年のように軍備を充実させ、ますます不気味さを増している中国人民解放軍について知りたくてこの本を手に取りました。学者さんの本とは思えないほど、とても読みやすかったです。10年くらい前の本なので、読む前には情報が少し古いかなと心配もしたのですが、中国軍の歴史や編成などが詳しく説明されており、今でも充分に参考になる本だと思います。著者の矢吹さんと出版社には、情報をアップデートした新版の出版をお願いします。




中国の四季 漢詩歳時記 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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中国の秘密結社 (講談社選書メチエ)
販売元: 講談社

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